完璧執事の甘い罠
「今、王がダリウスに働きかけてくださってるだろう。その返答を待て」
「・・・あちらが、そう簡単にひな様をかえすとでも?」
「焦ったって、どうしようもねぇだろうが」
最もだ。
私個人には、力なんてない。
ひな様を助け出せる力など、ないのだ。
「なにか、取引があったのは間違いない。でなきゃ、あいつが自分から向こうに行くはずない」
「ノエル・・・。ですが、取引とは・・・」
「あいつにとって、それ程大切なものってなんだ・・・?」
ひな様にとって大切なもの・・・。
それは、アリス様やお父上である家族・・・?
だが、それがダリウスとの取引に関係するとは考えにくい。
ならば、いったい何が・・・。
「あいつの大切なもの・・・か」
「なにか、思い当たるものでも・・・?」
「俺には、お前くらいしか思い浮かばねぇな」
「私・・・ですか?そんな、私なんて・・・」