完璧執事の甘い罠
それは、この世界にやって来た時にも感じたこと。
でも。
アルバーナの時は、それでも温もりは感じた。
私の事を温かく迎えてくれている感覚は、感じた。
ここには、それすらないの。
「名乗れ」
「はい。本日より、ひな様のお世話をさせていただきます。エリシアと申します」
「・・・え・・・」
クロードに促され部屋に入ってきたその人物を見て、私は目を疑った。
エリシアと名乗ったそのメイドは、アルバーナで新人メイドとして会って、話もしていたその人だった。
「ど、どうして・・・」
「どうぞ、何なりとお申し付けください」
エリシアは、私の問いかけに答えることなく頭を下げる。
私は、意味が解らなくてじっと彼女を見つめた。
どういうこと・・。
彼女が、彼女が、アルバーナに送り込まれていた刺客だったというの?