完璧執事の甘い罠
争いの足音
私は側にいられなくてもいいから。
どうか、幸せでいてほしい。
それが今の私の願い。
「クソが!ふざけるな!なんとしてでも突破されるな」
廊下が騒がしいことに気づいたのは昼下がり。
部屋の中でぼーっと過ごしている私は、その騒ぎでようやく現実の世界に戻ってきたような気がした。
「なに・・・」
ぼんやりと思ったまま口に出す。
あれはクロードの声だろうか。
「アルバーナが戦争を仕掛けてきたのです」
いつの間に部屋の中にいたのかエリシアが淡々と答えた。
「え・・・、戦争なんてどうして・・・」
アルバーナは戦争を自ら仕掛けることはないって・・・。
どうして。
「どうして?白々しい。わからないんですか?」
「え・・・?」
「貴方を取り戻すためですよ」
エリシアの言葉に私は息を飲んだ。
私を取り戻す為に戦争を?
そんな・・・!
「だめよ!そんな!!」
そんな事をしてもし・・・もし、みんなにもしものことがあったら!