完璧執事の甘い罠



「なに、シーエン王国も挙兵しただと!?」



ある一室から、クロードの怒鳴り声が聞こえた。
私は身を潜め、そっと中の声を聴く。




「今しがた入ってきた情報です。抑えるのが精一杯で、城まで押し入られるのも時間の問題だと」

「なにやってる!ありったけの勢力をつぎこめ!攻め入れるなど許さん!」

「し、しかし!」




従者の人だろうか、必死に抵抗を見せているけど、クロードは聞く耳を持たない。
独裁者。
怖ろしい王だとつくづく思う。




「アルバーナの要求は、姫の解放です!いっそ、解放してしまった方が・・・!」

「俺に口答えをするな!あれを渡すくらいなら、この手で殺した方がましだ」

「クロード様!」




殺す・・・。
クロードから出た怖ろしい言葉に血の気が引く。
最後には、殺されてしまうかもしれない。




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