完璧執事の甘い罠
この階から身動きが取れない私は、それでもどうすることもできなくて。
ただ、どうか無事でと祈ることしかできなかった。
刻々と時間だけが過ぎる。
あれから、2発大砲が発射された。
しかし、それ以来シンと静まり返っている。
試作段階だと言っていた。
不備でも出たのだろうか。
「女!どこにいる!」
廊下でクロードが叫ぶ声がする。
とても切羽詰まった声。
いったい、何が起きようとしているのか。
私は身構えた。
けたたましい音と共に私がいた部屋の扉が開かれる。
隠れる暇もなく私は見つかってしまった。
「こんなところにいたか。こっちに来い!」
私の腕を掴むと強引に私を引っ張り連れて行く。
必死に抵抗しながらも、私はクロードの力には敵わずそのまま部屋を出て廊下を歩き階段を降りていく。
最期の時が、刻々と近づいていっているような気がした。