完璧執事の甘い罠
「そうすれば、この戦争の勝者はこの俺だ」
「そんな卑怯なやり方で満足なの!?あなたの国の国民や、あなたの下で働いてる騎士たちだってたくさん犠牲になってるんじゃないの!?」
「あんなモノ、駒だ。駒がいくら欠けようと問題はない」
根本的に考え方が違うんだ。
人の命をなんだと思っているの。
説得なんて無理だ。
分かり合えるわけがない。
「私はあなたなんかに殺されたりなんかしない!」
私は懐から先ほど見つけ出したナイフを取り出し私の腕を掴んでいたクロードの腕を斬りつけた。
「貴様!」
怯んだ隙に距離をとる。
右腕を抑え、忌々しげに私を睨みつける。
「あなたの手にかかるくらいなら、自分から死んでやるわよ!」
これで、この戦争が終わるなら。
どうせ、こうすることでしか変わらないのなら。