完璧執事の甘い罠
きっと、クロードはいくら劣勢になったとして易々と私を手放したりはしないだろう。
例えばここにノエルたちが来てくれたとしても。
私が人質にとられていればきっと力を出すことはできない。
そういう人たちだ。
ならば結局私は、この男にいいように使われるだけ。
グッと力を込め喉元に向けたナイフ。
手が震える。
怖い。
「ばかめ。そんな事をしてなんになる、手段が変わっただけ。結果は同じだ」
「それでも!私はあなたに屈しない!それが伝わればいい!」
ジルを護りたかった。
大好きで、大切で、愛してるの。
こんなにも好きになるなんて思わなかった。
でも、こんなに辛いなら。
好きにならなければよかった。
どうせ、叶わぬ恋ならば、知らない方がよかった。