完璧執事の甘い罠
でももう、いいよね。
もう、忘れられる。
終わりにできるんだ。
「さよなら」
さよなら。
私、少しは役に立てたかな。
姫として。
王位継承者として。
結局未熟なままだった。
ほんとはもっと、いろんな事教えてほしかった。
もっと側にいて、厳しく指導してほしかったよ。
力を込め、ナイフを引く。
私の頬を、涙が伝う。
「ひな様!!」
聞こえた声は、私の希望が聞かせた声か―――。
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