完璧執事の甘い罠

救いたかったもの



ひな様を連れ戻す。
それだけを胸に私、ジルは馬を走らせた。
傍らには騎士団長のノエル。



「気を引き締めろよ!」

「わかっています!」



王が判断を下し、姫奪還のため挙兵することになった。
一執事である私はもちろん参加する予定ではなかったのだ。


だが、私は王さまに直談判をし参加させてもらった。
必ずノエルの側を離れないという条件付きでだが。



いささか、甘いと思う。
我が国の国王様は。

こんな勝手なことを言う部下なんて、勝手に討死しても自業自得だというのに。
そんな私に、騎士団長を付けるなど。


戦争には、友好関係にあるシーエン王国も挙兵し協力してくれる運びになった。
それは、大きな戦力となって今のところ状勢は優位に運んでいた。



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