完璧執事の甘い罠


倒れていく体。
手からこぼれ落ちたのは赤い血が滴るナイフ。

私は慌ててひな様の体を受け止めた。




「おいっ!」



共に来ていたノエルが青ざめた顔をしている。
しかし、私たちの存在に気づいたダリウスの騎士達が剣を構え私たちを取り囲んだ。

ノエルは舌打ちをして私たちを守るように剣を構えた。



「ジル!そいつ頼んだぞ!」

「ええ!」


ぐったりと弱々しく倒れたひな様の体。
流れる血が痛々しく、私は布を取り出し傷口に押さえつけた。


傷口は深いのか、すぐに布は赤く染まった。



「ひな様、どうして・・・!」



血が止まらない。
このままでは。



どうしてこんなことに。
ひな様は、自ら死を選んだのか?



「はっ!ははははっ!傑作だな!」




高らかに笑う声。
これは、ダリウスの王、クロードのものだろうか。




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