完璧執事の甘い罠
「かなりの出血量でしたが、血は止まり傷口も縫合しました」
「ありがとうございます」
争いを終結させ、アルバーナの王城に戻ってきてすぐにひな様を医師に見せた。
あの場で簡単な応急処置はしていたが、戻ってきて本格的な手術が行われたのだ。
「ですが・・・」
「なにか・・・?」
「傷からくる熱が出ています。おそらくまだ上がるでしょう。そして、意識が戻るかどうかはわかりません」
「わからないとはどういう事ですか」
つい口調が荒くなってしまう。
先生は、悪くないとわかってはいても。
「かなり出血も多く、処置も少し遅れています。意識さえ戻れば後は問題はないでしょう。しかし、意識がいつ戻るかは私からはなんとも・・・」
「そう、ですか・・・」
告げられた現実に打ちひしがれる。
全ては、私が護りきれなかったせい。
ひな様から目をそむけてしまったせいだ。