完璧執事の甘い罠
テーブルの上にある氷水の入ったボウルにタオルを入れ絞り、それでひな様の汗を拭く。
こんなことしかできないことが、もどかしい。
「ひな様・・・はやく、はやく目を覚ましてください」
祈るように。
ひな様の頰に手を添え、顔を覗き込む。
込み上げてくる感情が胸を締め付けた。
「お前のそんな姿、初めて見るな」
「・・・っ、ノエル!」
突然聞こえた声に私はハッと体を飛び退かせた。
「言っとくけど、ノックしたからな」
「い、いえ。すみません。雑務処理、任せきりですみません。終わったんですか?」
「取り敢えずな。けが人はホールに集めて処置しているし、全部隊撤退も済んだ」
「そうですか、王様へは」
「報告済ませてそのままここにきた」
「ありがとうございます」