完璧執事の甘い罠


「ひな様!?」



私は思わずそう叫ぶ。
ひな様は、そのままゆっくりと瞳を開いていく。




「ひな様!わかりますか!?ひな様!」




目を覚まされた。
ようやく。


ああ。
ああ!




「どうした?なんの・・・」



お見舞いに来たのであろうノエルが私の声にノックもせず中へと入ってくる。
そして私とひな様の様子に気づいて慌てたように駆け寄った。



「おい!?目を、覚ましたのか?」

「はい。今、今目が・・・」



興奮気味にそう答える。
ひな様は、呆然とした様子で瞳を開きぼんやりと天井を仰いだ。


この状況を理解できていないのだろうか。
それもそうだ。
ひな様は何日も眠っていた。
あんな事もあったのだ。




「ひな様・・・、わかりますか?声が、聞こえますか?」




私は、少し切羽詰まったように何度もひな様を呼ぶ。
どうか、声が聴きたい。
無事なのだと、ちゃんと確信を持ちたい。



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