完璧執事の甘い罠


「今日はここまでです。明日、今日やったところの振り返りをしますので、復習の方をしっかりなさってください」

「・・・うん」

「聞いているのですか?」




厳しい声が飛んでくる。
私は顔をあげ、ジルの方を見上げる。




「聞いてますけど、私に必要があるとは思えないので」

「アルバーナ王国の王女であり、王位継承者の資格のあるひな様には必ず必要となることばかりです」

「だから、それが・・・!・・・もういい」



何度言っても伝わらない。
私の意志なんて関係なくて。

どうだっていいのだから。





「・・・もう終わったんでしょ。出てって」

「夕食の時間に、呼びに参ります」

「どうも」




恭しく礼をすると、ジルは席を離れ部屋から出て行ってしまった。
静かになる部屋。
私は深い溜息を吐いた。




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