完璧執事の甘い罠


「・・・ここは・・・」



少し掠れた声。
でも、確実にひな様の声。
私は嬉しく、鼻がツンとする。



「ここは、アルバーナ王国の王城の中の医務室です。ひな様は、アルバーナに戻って来られたのです」



私は精一杯丁寧に状況を説明する。
声が震えてしまわないように声を張った。




「アルバーナ・・・」

「はい。よかった。本当によかった。目を覚まされるのを、待っていたのです」

「ほんと・・・。お前、おせぇよ。心配かけやがって・・・」



ノエルも、こみ上げるモノを我慢したように顰めた顔をしてそう言う。
ひな様は、ぼぅっとした表情で我々を見やった。




「意識が戻れば大丈夫だという事ですが、ひな様は大怪我を負っていてそのケガはまだ完治していません。しばらくは安静にしていてください」

「・・・怪我・・・」

「無茶しやがって・・・。勝手なことするなよ」



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