完璧執事の甘い罠
頭がぼんやりとする。
ああ、ここはどこだろう。
目をあけたいのに瞼が重くて開けられない。
「まだ思い出しそうにないのか・・・?」
「ええ・・・。精神的にも不安定な様子で・・・。取り乱して意識を失ってしまったんです」
「・・・あいつって、こんな弱かったんだな」
声がする。
誰の声だろう・・・。
でも、聞き覚えがあるということは、私の知っている人・・・。
ジルさん・・・?
それから、ノエルさん・・・?
「もっと気が強くて、強情な奴だった気がしたけど・・・」
「出会った頃とは、状況が違うんです。仕方がないでしょう。それも記憶障害のせいなのかもしれませんし」
私の事、話しているの・・・?
私がなにも思い出せないから?