完璧執事の甘い罠


「どちらにせよ・・・。ひな様を支えて差し上げなければ。執事として・・・」

「執事として、か・・・。本当に、それだけかよ」

「・・・」

「本当は、お前が一番苦しいくせに。あいつが記憶を失くしたこと」




え・・・?
言葉の意味が解らなくて。

私は思わず目をあけていた。



「・・・ひな様」

「あ・・・」



もう少し、二人の会話を聞いていたかったのに。
その後、なんて言うつもりだったの?
さっきの言葉は、どういう意味?




「ジルさん・・・」

「大丈夫ですか?わかりますか?ここは、医務室です。中庭で倒れられたのです」

「・・・うん」

「なにか、気に障ることをしてしまったんでしょうか・・・?」



心配そうなジルさんの表情。
私は、小さく首を横に振った。



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