完璧執事の甘い罠
Trap 5
苦渋の選択
――楽しい時を、いくらでも共に過ごしましょう
頭から消えない。
ジルさんに言われた言葉は暖かく。
私の心をいつまでも包んでくれる。
どうして、こんなに私のことを想ってくれるんだろう。
私はどうしてこんな人を忘れてしまったんだろう。
「これ・・・」
ジルさんが側に付いてくれていた。
ジルさんは私にあるものを差し出す。
それは、お母さんの形見でもあるネックレスだ。
どうして、これをジルさんが?
「どうして・・・?」
「敵国に行かれる前、ひな様が私に手渡されたのです」
「ジルさんに・・・」
とても、とても、大切なもの。
お母さんの大事にしていたもの。
それを、ジルさんにあげたの?
どうして?