完璧執事の甘い罠
騎士団長・・・。
騎士なんだ・・・。
腰に下げたあの剣で戦うのかしら。
たくさんの人を、傷つけてきたのかな。
・・・こわい。
「ひな・・・、か。見たことない顔だな。使用人にしてはいいもの着てる」
「使用人じゃないから」
「使用人じゃない?じゃあ・・・あ、げ、も、もしかして」
ノエルと名乗ったその人は、私の存在に心当たりがあったのか正直に顔を歪ませ、げんなりした顔をする。
正直すぎるでしょ。
「もしかして、異世界から来たっていう、姫?」
「・・・って勝手に言われてるだけ」
「姫っぽくないもんな、お前」
「なにそれ!失礼じゃない?・・・否定できないけど」
なんだろう、姫だってわかっても態度が変わらない。
そのことに、なんだかものすごく安心感を覚える。
「畏まったりしないんだ」
「・・・俺は、自分が納得できた相手にしか従わない」
「ふぅん」
その理屈で言えば、私には納得できてないってこと。
まぁ初対面だしね。