完璧執事の甘い罠
「ひな様がもし、ご自身の事も何も覚えていない状態なのなら、どうにか思い出していただきたいと思いますが・・・。ひな様自身の事はちゃんと覚えておられますから」
「そっか・・・」
また新しい関係を・・・か。
執事と主人の関係なら、きっとそれでも上手くいくんだろう。
ジルさんがそれでいいと思うのならそれでもいいのかな。
この世界の事何一つ覚えていないのは少し寂しいけれど。
「ひな様は、思い出せないからといってご自身を責める必要はないのですよ」
「ありがとう・・・」
私の気持ちを和らげてくれるつもりなのかな。
思い出せないことで自分を責めないように。
こんなに優しい人の事、忘れてしまいたくなかった。
「ひな様、明日昼食でもテラスで食べませんか?他の者たちを誘って、皆で」
「え・・・、楽しそう!」
「城の者を紹介いたします」