完璧執事の甘い罠
王様とは、初めて会った日からあまり直接話したりする機会はなかった。
いつだって忙しそうで、遠目に姿を見るだけ。
おじいちゃんっていう感覚は正直持てていない。
根っからの王族で、側にいればオーラがあって緊張してしまう。
私も同じ王族だと言われても、やっぱり根っからのものは変えられない。
育ちっていうのだってあるだろうし。
「可哀想に。本当に守りきれず申し訳ない。そして、会いに来るのが遅くなってすまなかった。後処理がおわらんでな」
「いえ・・・。忙しいのにすみません」
「頭を下げずともよい。ゆっくりと体を休めるのだぞ?」
「はい」
優しい王様。
そんな王様を騙しているみたいで胸が痛む。
王様は私の様子を確かめただけですぐにいってしまった。
公務がまだのこっているらしい。
もしも私が王位を継承したとしたら、その公務は私の仕事になるんだ。
私に、できるんだろうか。