完璧執事の甘い罠
「おい」
昼食を終え、ジルに送られながら部屋に戻ろうとした時。
ノエルが私を呼び止めた。
「・・・はい?」
「お前、思い出してんだろ?」
「・・・え?」
振り向いた私にノエルが投げつけた言葉。
私は目を見開く。
「本当はもう、思い出してんじゃないのか?」
「ノエル、なにを言っているんですか」
側にいたジルが戸惑ったような声を上げる。
ドキドキと胸が鳴る。
どうして・・・。
「なんで、そんな風に思うの」
「王さまへの態度がおかしかった。初対面には思えなかった。それに、お前がジルを見る目が昨日とは違う」
「・・・何それ、よくわからない」
私がジルを見る目?
そんなの、傍から見てわかるわけない。