完璧執事の甘い罠


「見てりゃわかるんだよ。俺を見くびんな」

「―――っ、だったらなんなの。別に、関係ないじゃん!私が覚えていようがいまいが、私が王女でジルが執事でノエルが騎士だって関係に変わりなんてないでしょ!」



私は思わずそう叫んでた。
ジルが言ったように、新しく関係なんて作っていける。
だって、それくらい私たちの関係なんて簡単なものだったんだ。

また新たに主従関係さえ結べれば。
それで、何とかなるものなんでしょう?




「は?全然違うだろうが」

「違わないよ!ノエルは私を護って、ジルが私のお世話してくれて。なにも変わらないじゃない。だって、それでいいって言った。ジルはそう言った!」

「ひな様・・・」

「私は私だから・・・。ジルだって、このままの方がよかったんでしょ?仕事で優しくしただけなのに、まんまと勘違いして好きだって言ってくるような私なんかより。またゼロからはじめられた方がやりやすいもんね」




ひねくれていると自分でも思う。
でも、それ以外に私にどうすればよかったの。



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