完璧執事の甘い罠

ぎこちない関係



「傷口が開いてしまったようですね」

「・・・すみません」

「少し完治が遅れてしまうと思いますが、これくらいなら平気ですよ」



ジルたちを拒絶して、私は医務室に行った。
そこには城に常駐している医師がいてくれている。
痛む傷口を診てもらうと、傷口が開いて血が出ていた。




「しばらくは動かさないように安静にしていてください」

「・・・はい」

「ベッドで横になりますか?」

「いえ、自室に戻ります」

「そうですか。お大事になさってください。大事なお体なのですから」




医師はそう言って温かく笑う。
大事な身体・・・か。
それはきっと、私が王女だから。


また初めの頃みたいなネガティブな思考になってきていることにハッとした。




「ありがとうございました」

「側付きの方をお連れしなくて大丈夫ですか?」

「はい。大した距離でもないですし。平気です」




私はそう答えると医務室を後にした。


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