完璧執事の甘い罠


その奇跡が自分に起きないからって、ふて腐れてるだけだって。




「今回だけではありません。ひな様がダリウスに向かう決断を一人でさせてしまったことも、そもそもダリウスに浚われてしまったことも・・・。すべては私の失態ゆえ」

「そんな事・・・!」

「ひな様がどう仰ろうと、それが事実なのです。私は、ひな様を一つも護ることができなかった・・・。執事として誇りを持って生きてきましたが・・・。これでは、執事としても失格です」




違う。
違う、違う!

だって、それは。
私が勝手にしたことで。

浚われたのだって、仕方がなかったことで。
ジルだって、ノエルだって、他の騎士だって皆、皆、私を護ってくれた。
護ろうとしてくれた。



結果が全てだと言われればそれまでだけど。
私は誰も恨んでもいないし、誰かのせいだなんて思っていない。




「私は、ジルに自分を責めてほしくてダリウスにいったんじゃない・・・!」




< 276 / 357 >

この作品をシェア

pagetop