完璧執事の甘い罠
その奇跡が自分に起きないからって、ふて腐れてるだけだって。
「今回だけではありません。ひな様がダリウスに向かう決断を一人でさせてしまったことも、そもそもダリウスに浚われてしまったことも・・・。すべては私の失態ゆえ」
「そんな事・・・!」
「ひな様がどう仰ろうと、それが事実なのです。私は、ひな様を一つも護ることができなかった・・・。執事として誇りを持って生きてきましたが・・・。これでは、執事としても失格です」
違う。
違う、違う!
だって、それは。
私が勝手にしたことで。
浚われたのだって、仕方がなかったことで。
ジルだって、ノエルだって、他の騎士だって皆、皆、私を護ってくれた。
護ろうとしてくれた。
結果が全てだと言われればそれまでだけど。
私は誰も恨んでもいないし、誰かのせいだなんて思っていない。
「私は、ジルに自分を責めてほしくてダリウスにいったんじゃない・・・!」