完璧執事の甘い罠
「わかっています。それでも、私が許せないのです。自分の感情で、任務を疎かにしてしまった・・・」
「疎かになんて、していないでしょう?」
一度だって手を抜いたことなんてなかった。
空気がぎこちない時は確かにあったけれど、それでも、執事の仕事はちゃんとやってた。
それに、そもそも避けていたのは私の方だ・・・。
「ひな様、私は執事の任をおりようと思っています」
「・・・え・・・」
「ずっと考えておりました。ひな様を取り戻し、無事を確かめたその後は、後任の者に託し、退こうと・・・。今日は、そのお知らせをしに参ったのです」
なんて、言ったの・・・。
今、なんて・・・。
ジルが、執事じゃなくなる・・・?
「退いて・・・どうするの・・・」
「まだ、決めておりませんが・・・。城は出ることになると思います」
「なんで・・・」
「これ以上、私がお仕えすることがひな様のためにならないと、判断したのです」