完璧執事の甘い罠
「嘘・・・」
「嘘ではありません。本当は、ひな様の想いをきいたときも、嬉しかったのです。ですが、私はその気持ちに応える立場にないと・・・」
「お母さんの事は・・・?」
だってジルは、お母さんの事が好きだったんじゃ。
お母さんには敵わないって思ってた。
「アリス様の事は・・・。あくまで憧れの域です。アリス様は、私がまだ見習いの時はじめてつかせていただいた方で、とてもよくしていただいたのです・・・。だから・・・、とても思い入れがあるのです」
「じゃあ、本当に・・・?」
「はい・・・。だからこそ、ひな様を護れなかったことで、自分が許せないのです」
どうしよう、嬉しくて。
嬉しくて、さっきとは違う涙があふれる。
「嬉しい・・・。私、今世界で一番幸せ。私を幸せにしてくれたのは、ジル・・・あなただよ」
「ひな様・・・」
「だから、護れなかったなんて言わないで・・・。ジルの言葉で、私はいつだって世界で一番幸せになれるんだから」