完璧執事の甘い罠
「緩みきった顔しやがって」
「・・・ノエル」
夕食を終え、部屋まで送ってくれているノエルが呆れたような顔でそう言った。
私はとっさに頬を抑える。
「ジルとうまくいったのか」
「・・・うん。でも、なんだかままごとみたいな感じなんだけどね」
公には出来ない関係。
堂々と一緒にいるには主と執事の関係でいなくちゃいけない。
「って、ノエルには正直に話しちゃった・・・」
「別に、言いふらすつもりはねぇよ。ジルが素直になれたのがよかったなと思うくらいだ」
「ノエルって、ジルの事大好きだよね」
「はっ!?その語弊のある言い方なんだよ」
ノエルは怪訝な顔で私を振り返る。
言い方は悪かったかもしれないけど、でも、本当にそう思う。
ノエルはジルの事信頼しているというか、他の人に対しての感情よりももっと強いものを感じる。