完璧執事の甘い罠
さよなら、大好きな人
「ジル、お願いがあるの」
ジルと二人でお茶の時間。
私たちが唯一恋人でいられる時間。
私は、ジルに思い切ってそう言った。
「お願い・・・ですか?」
「うん・・・。あの、ジルとデートがしたい」
「デ・・・デート・・・ですか?」
驚いたように目を見開き戸惑ったように呟く。
私は照れながらも頷いた。
「あのね、難しいのはわかってる。でも・・・、一度でいいから城下を二人で歩いてみたい」
「それも、城下をですか・・・?」
比較的アルバーナの城下が治安がいいからといって、一国の王女が護衛もつけずに出歩くことは困難だってことはわかってる。
許可がおりないかもしれないことも。
でも、いってみないとわからないよね。