完璧執事の甘い罠
「ひな様!お帰りなさいませ」
城へ戻ると、ヨハンが迎えてくれた。
最近ヨハンは、私から離れ立派な執事になるための勉強に励んでいる。
なんでも試験がありそれを通ると新人という枠から一歩外れることができるらしい。
「ただいま、ヨハン。なんだか久しぶりだね」
「はい!今日、試験が無事終わり、新人執事から脱却いたしました!」
「本当?おめでとう!じゃあ、これからはまた私の執事としていてくれるの?」
「そのことなんですが・・・。それよりも、ひな様にお客様が・・・」
「え・・・?」
お客さま?
私を訪ねてくる人なんて、いたかしら・・・。
「やあ、ひな様。お久しぶりでございます」
ヨハンの向こう側から、迎えるように現れたのは、シーエン王国の王子エリックさまだ。
「エリックさま・・・」
「突然の訪問で申し訳ない。急ぎ、ひな様にお話ししたいことがありまして」