完璧執事の甘い罠


「私としては、こんな形ではなく、もう少しひな様との交友を深めてからがよかったのですが、この状勢・・・いたしかたありません。いい返事を、お聞かせ願いたいのですが」

「・・・はい。もちろん、喜んでお受けいたします」




私はちゃんと笑えているだろうか。
ジル、貴方は今どんな顔をしている?


後でノエルに聞いてみようかな。
でもノエルはジルよりも後ろにいて見えていないかしら。



「ああ、よかった。断られたらどうしようかと・・・」

「私に、断る理由なんてありませんから」




断る権利なんてない。
本当はそう言いたかった。

だって国を護るには、王さまや、ジルや私の大切な人たちを護るにはそうするしかないのだから。


でも、そんな事言えない。



「できれば、私が国へ帰る時に共にと思っているのですが」

「それは、いつでしょうか」

「明後日にでも、と」




明後日・・・。




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