完璧執事の甘い罠
「わかりました。準備を整えておきます」
「ありがとう。きっと、大切にします。ああ、夢みたいだ。私は幸せ者です。ひな様のような素敵な方を迎え入れることができるのですから」
「そんな、こちらの方こそ。エリックさまがお優しい方でよかったです」
ダリウスでの待遇を思えば、きっと私は幸せだ。
きっと大切にしてもらえる。
そして、大好きな人たちも護れる。
きっと、これが最高の道。
「急ぎアルバーナの国民にも伝えなければ。王さまに報告してきますね」
「ありがとうございます」
エリック王子は、本当にいい人だと思う。
優しくて、穏やかで。
私を大切にしてくれるだろう。
去っていく背中をしばらく眺めた。
「ひな様・・・」
「え、あ。ごめんね、ヨハン。呼びに来てくれたんだね、ありがとう」
私は気丈にそう振る舞う。
気を張っていないと泣き崩れてしまいそう。