完璧執事の甘い罠
「ノエルですか!?手を貸してください!」
「は!?ちょ、どういう状況!?ちょっと待てよ!」
ノエル・・・。
ああ、さっきの。
余計なことしないで。
あと少しで、あと少しで私は。
「おい、手を貸せ!」
「・・・余計なことしないで!手を放してほしいの!」
「は!?馬鹿か!?」
ノエルは舌打ちをすると、テラスの欄干を乗り越え手すりを片手で持ち身体を支えながら私の身体に手を伸ばす。
私は必死に逃れようとするけど、ノエルの手にがっしりと抱え込まれてしまった。
「やだっ!やだって言ってる!」
「うるせぇ!俺の目の前で人は死なせねぇ!お前もな!」
「勝手な事言わないで!」
抵抗も虚しく、私の身体はテラスへと抱え上げられてしまった。
こみ上げてくる涙。
私はテラスに蹲るとこみ上げてくる涙を抑えることもせず泣き崩れた。
「ひな様・・・」
「もう来ないで!放っておいてよ!死なせてくれないなら、もう、私の事は放っておいて!」
泣き叫び、ジルたちを拒絶する。