完璧執事の甘い罠
「少しでも、互いの事を知るためにも。散歩がてら、話をしたいんだ」
「・・・はい。喜んで」
私は扉をあけると、エリックさまと向き合う。
ホッとしたような優しい微笑。
本当に、優しい人だと思う。
「よかった。断られたらどうしようかと不安だったんだ」
「どうして、断る理由なんてありませんよ」
「急に環境が変わって、戸惑っているんではないかと思って」
「それは・・・。でも、皆さん良くしてくれてますから。不満も不便もありません」
本当に、よくしてもらっているのだ。
もったいないくらいに。
「綺麗な庭・・・」
アルバーナの庭も、綺麗だったけれどシーエン王国の庭もとても綺麗だ。
アルバーナにはない大きな噴水があって、水の音が心を落ち着かせてくれるよう。
「疲れた時、心が苦しくなった時、ここに来るんです」
「癒やされそうです・・・」
「ええ。とても」