完璧執事の甘い罠
「ひな様の好きなものはなに?」
「え・・・?」
「今夜は、ひな様の好きなものを作らせよう」
「そ、そんな、私は・・・」
エリックさまにとても気を遣わせてしまっている。
こんなんじゃ、ダメなのに。
「ひな様にとって、僕との婚約は政略的な意味合いが強い?」
「え・・・」
「もっと悪く言えば、人質・・・かな?」
顔をあげ、エリックさまを見上げる。
エリックさまはまっすぐと噴水の方へ向いていて、あまりはっきりと表情が見えなかった。
なにを思っているのか。
「でも、僕にとってはそうじゃないんだ」
そこでようやく顔を私の方へと向けてくれる。
エリックさまは少し悲しげに笑った。
なんで、そんな悲しげなの・・・。