完璧執事の甘い罠
私のために、自分の想いを押し殺そうとしてくれる人。
私のために、私の想いを尊重しようとしてくれる人。
きっと国としては、王族としては、間違っている選択なのかもしれない。
それでも私のためにと決意をしてくれた人たち。
「遠く離れても、ひな様の幸せを、願っています」
「私も・・・。エリックさまが幸せでいてくれてることを願ってます」
「嬉しい。できれば、忘れないでほしいな」
「もちろんです!忘れるなんて・・・!」
忘れるなんてできるわけない。
エリックさまは私にとってかけがえのない人。
政略結婚でも、エリックさまが相手でよかったと思える。
そこに愛はなくても、彼となら幸せになれるかもと思えた。
それは彼が優しくて、私を想ってくれていることがわかるから。
私はきっと、ここで幸せだった。
「さあ、ここを出る準備をしよう」
「・・・はい」