完璧執事の甘い罠
でも・・・。
ここに来て私はどうしたらいいんだろう。
国のためにシーエン王国にいった事、後悔がないと言ったらうそになるけれど。
それでも、それが自分の役目なのだと。
お母さんやお父さんに誓った、姫として立派になるというその願いも。
私は手放してしまったことになる。
ここでひとりで生きていく。
それが、私の幸せにつながっていくんだろうか。
でも。
今はまだ、喪失感の方が大きいからそう思うのかもしれない。
これから、私がここで自分の居場所を見つけていくんだ。
そうすれば、いつかその道の先で、ジルに出会えるかもしれない。
だってここはアルバーナというじゃないか。
一般人になってしまった私と、国に仕える執事のジルとでは、今度は立場が逆転してしまうかもしれないけれど。
これまでジルが追ってくれていた事を想えば。
これからは私がジルを追うべきだ。