完璧執事の甘い罠


それから3日。
私は、その家で何とか過ごした。

エリックさまの手紙の通り一通り暮らしに困らないものは揃えてあった。
料理は両親が亡くなってから自分でしていたし、ある程度のものは作れた。
困ったのは、元の世界とこの世界では材料が違う事。
見慣れない材料もたくさんあったし、どう料理すればいいのかがわからないものも多々あって。

王宮では出来上がったものが出てきていたし、それの元の姿なんて考えたこともなかった。



てんやわんやしているうちに、あっという間に3日が経ってしまった。



「今日、お金を持ってきてくれるんだよね・・・」



そして、最大の贈り物が届くって言っていた。
最大のってなんだろう。


それに、資金まで・・・。
でも、それから先は断らなきゃ。


落ち着いたら街で仕事を探して自分で働いて稼がなきゃ。
いつまでも甘えてばかりはいられない。



ようやく、自分の生活に楽しさも見出せるようになってきた。
国の事や、皆の事はやっぱり心配ではあるけれど。

ここでは、世界の事は届いてこない。




< 346 / 357 >

この作品をシェア

pagetop