完璧執事の甘い罠
きっと、たくさんの人に迷惑をかけてしまった事だろう。
自分のしたことがどれだけの人に迷惑をかけたのか。
考えるだけで恐ろしくもなる。
エリックさまの優しさに甘えてここまできてしまったけれど。
トントン
玄関からノックの音がする。
出ていいのだろうか。
不安になる。
でも、今日人が訪ねてくるのはエリックさまの言う通りだし。
「アルバーナ王国から使いでやってしました」
返事がないことに不審に思ったのか扉の向こうの人が名乗る。
その声に、私は胸が騒いだ。
だって、間違うはずがない。
「開けてもらえ・・・」
「ジル!?」
勢いよく扉を開け、その人を確認する。
その先にいたのは、紛れもなくその人で。
会いたくて、会いたくて、仕方なかった。
想って願って恋い焦がれた。
ジルその人。