完璧執事の甘い罠


「ジル・・・!!」

「ひ、な・・・さま・・・?」




ジルは、私の顔を見て目を見開く。
そして、その瞳からポロリと涙が溢れた。

ジルの涙に私は息を呑む。
どうして・・・。

そんな事がよぎったその瞬間、私の身体はジルによって抱きしめられていた。



「ひなさま・・・っ!本当に、ひなさまなのですね!」



きつく、きつく抱きしめられる。
その温もりにジルの存在を再確認して嬉しくて私も抱きしめ返した。
会えるなんて思っていなかった。


最大の贈り物。
エリックさまの言葉の意味がわかった。


本当に、最高のプレゼントだ。


「顔をよく見せてください」

「ジルも。・・・少しやつれたんじゃない?」

「ひなさまは、髪を切られたのですね」

「うん・・・。バレないようにってエリックさまの提案で」

「エリックさま・・・。そうですか。彼のおかげだったのですね」



涙目のジルが嬉しそうに笑った。



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