完璧執事の甘い罠
「ひな様・・・」
「どうしても、ジルの事諦められなかったの。きっと、エリックさまにもそれがばれてしまったんだわ。エリックさま、お優しいから・・・」
「ええ。本当に、心の広い暖かなお方です」
きっと、エリックさまが居なければこんな決断はできなかった。
自分の幸せだけを求めて姫をやめることなんて。
今でも罪悪感は消えない。
けれど、後悔はしていない。
「預かった荷ですが・・・」
「あ、うん。当面の資金をって・・・。あ、手紙が入ってる」
結局中もあけずにジルと話し始めてしまって放置していた荷物。
ようやく中を開くと、聞いていた通り当面の資金と手紙が同封されていた。
「・・・あ、ジルと私宛だわ」
「私ですか?」
ジルと顔を合わせると、その手紙を読み進めていく。
それは、エリックさまからの手紙だった。