完璧執事の甘い罠


『ジル、そしてひな様へ

まず始めに、ジル。キミを騙すようなことをしてしまってすまない。
そう謝っておこうと思う。


きっとこの手紙を読んでいる頃にはその誤解も解け、二人仲よく未来について話し合っている頃だろうか。


僕が、アルバーナ王国の王様まで巻き込み、このようなことをしたのには、ひとえにひな様の幸せがそこに在ると願ったからだ。


ひな様は国のために、自分を犠牲にしてしまえるお方だからこそ。
側にいる僕が解放してあげなければとそう思った。


しかし、それでも僕はひな様を好きになった者として、そうやすやすとジルに渡すわけにはいかないと。
ジルがひな様といるにふさわしいかどうか、見届けることにした。


ジルには、一切を明かさず、国民同様にひな様の死を伝えることにした。
そしてその反応を見て、その後どうするかを判断させてもらうことにしたのだ。






エリックさまの手紙には、衝撃的な内容が綴られていた。
エリックさまの想いが、私への優しさが詰まっている手紙。




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