完璧執事の甘い罠


「エリックさまに出会えてよかった・・・」

「ええ。本当に、すばらしいお方です」

「きっと、国は大丈夫だよね」

「きっと」



きっと問題はまだ山積みで。
ダリウスとの確執はいまだ残されたまま。

そんなに簡単に解決する問題ではないだろう。



それでも。
皆が皆国のために。
誰かの幸せのために。


暖かな心で前を向いて生きていこうとしている。
きっと未来は明るいと思える。



例えそこに自分が居なくても。
心だけは、きっと国を想って。



いつか、恩返しが出来たらいい。
その時には大きな大きなありがとうと、温もりを返せたら。




「ひな様。・・・私と、共に生きてくださいますか?」

「うん。でも、お願いがあるの」

「お願いですか?」

「ひなと呼んでほしい。もう、私はお姫さまじゃないんだから」

「はい。ですが、ひな様はいつどこにいても、私にとってはたった一人のお姫様ですよ」




そんな甘い言葉をもらえるなんて。
嬉しくて、くすぐったくて笑った。



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