完璧執事の甘い罠
「ひな様、少しでも召し上がってください」
次の日、ヨハンが食事を部屋まで運んでくれたけど、私はベッドから顔も出さずそれを無視している。
ヨハンは困ったような声をあげる。
自分の心がうまくコントロールできなくて。
ジルに止められ、ノエルに怒鳴られ。
私だって、そんなやり方は間違ってるって思うのに。
心の中に沈んだ鉛が重くて。
「ひな様・・・」
心配そうなその声を聴いても、なんとも思えない。
申し訳ないとか、心配かけないようにしようとか、そんな風に気遣えない。
「・・・放っておいて」
せめてそうやって声をかけるくらいしかできない。
しばらくしてヨハンは諦めたのか部屋を出ていく。
私は布団にもぐりこんだまま。
しばらくすると、再びノックが聞こえ誰かが入ってきた。
「ひな様、失礼します」
またヨハンの声。
諦めてなかったんだ。