完璧執事の甘い罠

執事とは、主とは、



「この通りは、商店が並んでおり、とても賑わっています」




私は今、ジルと城下へとやってきています。
今まで城の中しか知らなかった私を、国を知るためにと近場の城下街から案内してくれることになった。

そして、私はジルと共になるべく目立たない服装に着替え城下にやってきている。

ジルも、目立たないように今日は執事服ではない。
綺麗目だけれど普段着のような多少ラフなもの、らしい。

私はワンピース。




「なんだかみんな、楽しそう・・・」



本当に、賑わっているっていう言葉が似合うくらい笑い声や明るい声が飛び交っている。
こんな雰囲気、あまり見たことない。

街全体が知り合いみたいな、和気藹々とした雰囲気。




「ここは王都ですから、アルバーナ王国の中の都市でも、一番賑わいのある場所なんです」

「へえ」

「商売気質な人が多い都市柄といいましょうか、気さくな方が多いですね」

「そうなんだ」



ジルが丁寧に説明してくれているのを私は、同じような返答を繰り返しながら聞く。
だってジル、淡々と話すんだもの。
抑揚もなくて、なんだかつまらないや。




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