完璧執事の甘い罠
「食事はきちんと時間通りに食堂で取られてください」
「・・・うん。わかってる」
ジルもちらりとも見ずに答えると、盛大なため息が聞こえてきてビクッとする。
「わかっていないでしょう。今、何時だとお思いですか?昼食の時間をもう2時間も遅れているのですよ!」
「っ、ごめんなさい!!」
いい加減痺れを切らしたのであろうジルの鉄槌が下る。
私はビクッと身体を震わせ盛大に謝った。
ほんと、怒ると怖いジルさまさま。
「まったく。ずっと書斎にこもるのも、本当はやめていただきたい」
「ごめんなさい・・・。でも、私知らないことが多くて。知るには本を読むのが一番いいかなって」
「なんの為に私がいるとお思いで?」
「え?」
「あなたの教育係は私ですよ?あなたがやる気になったので、しばらくは好きにさせていましたが。そろそろ私の役目も必要でしょう」
「教育係・・・あ、そっか・・・」
そういえば、最初にそんな事を言っていた。
レッスンだって、受けたのに。
最初はなにも受け入れたくなくて、そんな事すっかり頭になかった。