完璧執事の甘い罠


私がジルに怒鳴ったあの後も、ジルは何事もなかったかのように振る舞ってきて。
多分、それは、私が言ったことに従うつもりはないのだと言っているのだってわかった。


きっと私の想いはジルには理解できないのだろうし。
私も、ジルの想いは理解できない。


私のために傷つくのが当たり前とか、仕方ないとかそんな言葉で済ませてほしくない。
そして、そのことに私が傷つくことがおかしいなんて、そんな事尚更聞けない。




なんて、私が抗議したところで、堅物なジルの頭がほぐれるはずはないのだと、私も諦めた。
ならば勝手にしてやろうと。

だったら、私だってなんと言われようと、誰かが傷つけば泣くし悲しむ。
そのスタイルを変えるつもりなんてない。

心は失わない。





「あなたがそこまで頑固だとは、思いませんでした」

「頑固なのはどっちなの」

「私は、正論しか申しておりませんが」



ぐぬぬ!
ほんとに、腹が立つほど動じない男ね!



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