完璧執事の甘い罠


私のレッスンは、座学だけではなくマナーやダンスレッスンまで多岐にわたった。
毎日朝から夕までひたすら勉強の日々。



「お前、最近頑張ってるんだってな」

「え?あ、ノエル。訓練終わったの?」

「ああ。昼休憩」

「そっか。お疲れさま」




ノエルたち騎士は、任務がない時にはいつも訓練をして体を鍛えている。
一度だけ見学させてもらったけど、高校の部活動なんて比じゃなく、皆が必死で熱血に剣を振るっていた。



「姫らしくなってきたじゃん」

「そうかな?・・・ノエルに前言われたこと、自分なりに考えて。少し頑張ってみることにしたの」

「へぇ。ま、今のお前なら護ってやってもいいかもな。まだまだだけど」

「少しは認めてもらえたのかな?」

「少しは、な」



ノエルの信念にはきっと届かないくらいの小さな覚悟。
きっと、私はすぐ迷って悩んでまた逃げ出したくなるだろう。

もしかしたらまた二人のもとに行きたくなる時だって来るのかもしれない。


でも今は、頑張ろうと思えている今くらいは頑張ってしがみ付いてみようと思う。
何事も、やってみないとわからない。

小さなことからコツコツと、積み重ねていけばなにか・・・。

変わるかもしれない。



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