完璧執事の甘い罠
だめだ。
足、動け。
行かなきゃ。
これ以上聞きたくないこと聞く前に。
「あれが王族になれるならこの国のみんな王族になれるわよ」
「言えてる!ずるーい!」
悔しい。
あんな風に好き勝手言われて。
でもそれ以上に悔しいのは、すべて本当のことで言い返せないってことだ。
私だって半信半疑で。
お母さんがこの世界の人だってことも、王女様だったってことも。
肖像画は確かにお母さんそのものだったけれど、そんなのが証拠になんてなるのかわからないし。
でもだから。
少しでもできることをしようって。
少しでも、頑張って勉強して生きていくために必死になって。
そんなにお姫様に憧れるなら代わってあげる。
じゃあ、私の代わりにやってよ。
「ならば、代わってみたらいかがですか?」