完璧執事の甘い罠
「この城にお仕えするものは、皆王族に忠誠を誓った者たちでなければなりません。王族に不審を抱くものがいたのでは、安心して過ごしていただけませんから」
「ジルさま、どうか」
「自分がした発言がどのような結果を招くのか、わからないほど愚かなのですか?」
「・・・っ!」
「そのようなこともわからず、その場の感情だけでひな様を侮辱するような発言をしたのなら、尚更あなた方にメイド業を任せるわけにはいきませんね」
「そんな!ジルさま・・・!」
すっかり怯えきったメイドさんたち。
私はとっさにジルの腕を掴んだ。
「ジル、もういいよ・・・。私が、私がいけないんだから・・・」
「いいえ。ひな様個人の問題ではもうないのですよ」
「でも・・・」
「主と従者には、信頼関係が不可欠です。それを欠く人物に仕えさせるわけにはいかないのです」
ジルが言うことはもっともだった。
信頼していない人に仕えるなんて無理だし。
信頼していない人に自分のすべてを任せるのは無理だ。